7回目のバースデイ
夜中も零時を回った頃umieでは店長の松下さんのバースデイ。シャンパンもケーキもない、みんなの気持だけのささやかなプレゼント、マフラーと入浴剤。
umieを支え続けて6年、umieと同じだけ歳を重ねてきた。思えば旅館の女将のようになって欲しいとumieに誘ったのは6年前。3年間は休まず続けようと約束した。十分な職と収入を捨て、普通の暮らしにピリオドをうち、カフェの仕事を始めた彼女のこの6年の働きぶりには本当に頭が下がる。 ドリンクメニューだけで始めた1年目、2年目は夢中で走りぬけた。ただお客様が来てくれるだけで嬉しかった。 3年目、4年目はカフェブームの恩恵で人気カフェと持ち上げられだした頃だが、そんな実感はまったく無く、カフェであり続けることの意味をよく話してた。 |
時代のほんのすき間に生まれたumie、いつまでも続かないだろうと誰もが思ったと思う。そんな声を覆したのは店長の働きぶりの他に無いだろう。 なぜそんなに働くの?の声に、当たり前でしょと応える彼女。彼女を慕いやってくる若者たち、彼女の顔を見たくて来る男性客。そこにはカフェに携わってしまった人にしかわからないカフェの魅力、喜びがある。きっと店長もその一人になってしまったのだろうと思う。 |
出しゃばらず、派手なことは嫌いで、そして不器用で頑固な店長松下さん、 努力は才能を超えることを店長の働きぶりは身をもって教えてくれてるようだ。 umie7年目の春、今日も明日も、明後日もumieはカフェであり続けたいと思う。 月がとてもきれいな夜だった。 |