■中村ジョー「Sweet Heat」
何かと何かが存在すれば、その間にも何かが存在するのではないか、そんな事を僕は常日頃考えています。それは自分と街であったり、国と国、人間と動物、男と女、自分の内面と外面等々どんなものでも構いません。例えば林檎が2つ並んでいるだけでも構わないのです。一見何も存在しないようでいて確かにそこにある、幽霊のような、香のような、そんな儚さこそが世界を作り出す重要なキーワードのような気がするのです。そんな煙のような物事の中で、最もポピュラーであろう
「恋愛」をテーマにこのアルバムは作られました。「恋愛」は、漆黒の闇に浮かぶ花弁のように妖艶で官能的で、それでいて壁に映る影のように不確かで謎に満ちています。僕が考えるテーマには打って付けです。
しかし、今改めて聴きなおせば、その「恋愛」というテーマは如何様にも置き換え可能なようです。それは「人生」であり「虚無」であり 「夢」であり、「小さな敗北」や「僅かな希望」でもあります。誰もが抱えている、どうしようもなく冷たく、それでいて脈打っている小さな塊の事なのです。この銀盤を手にした皆さんと、銀盤との間にも何かが産まれることを祈りつつ、温度の無い僅かな熱のようなものが貴方の心の塊を少しでも燃やしてくれれば幸いです。
■アルバム推薦文
違いがわかるおとなのシンガーソングライター。ビタースウィートなコクと香りをお楽しみください。(曽我部恵一)ジョーくんというフィルターの奥に、80's
good songsの憧憬が眺めれます。恋してる時間の細部を捕えた、静謐なALBUMですね。少年のように男前なジョー氏、いつにも増し素敵です。小田島等(イラストレーター、デザイナー)
■中村ジョープロフィール
1970年10月29日生まれ 蠍座 O型。
1990年代初頭、若林タケシとユニット「阿佐ヶ谷ハッピーズ」を結成。
後5人編成のバンドとなり「ザ・ハッピーズ」と改名。グループサウンズや昭和歌謡曲、黒人音楽の影響を受けた音楽性で活動しファイルレコード/LOVIN'
CIRCLEよりマキシシングル「PORTRAIT OF THE HAPPIES」とミニアルバム「SOUL HUNTER」を発表。音楽性を70年代フォークロック的なものに変化させ、1996年ミディよりメジャーデビュー。マキシシングル「女心と秋の空/ハードフォークブルース」とアルバム「都会のハッピーズ」「アンドロメダ急行」を発表後、中村が脱退。解散。1999年にソロユニット「JOEY」でミディより再デビュー。アルバム「VOID」を発表後にバンド編成となりガレージロックバンドとして活動。セカンドアルバム「COME
ON」をリリース後メンバー交代を繰り返し2002年に解散。 2003年よりソロ活動をスタート。2004年曽我部恵一主宰のROSE RECORDSのオムニバスに参加後、2006年同レーベルより歌に焦点をあてたファーストアルバム「Blue
Box」をリリース。 2009年4月3年ぶりのセカンドアルバム「Sweet Heat」を同じくROSE RECORDSより発表。弾き語りやバンド編成などで活動中。
official site http://www.joenakamura.com/
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